blue_surface’s blog

なかなか更新されないブログです。漫画大好き。

『これ描いて死ね』第1話「来るべき世界」。

2021年漫画総評に続いて、更に別記事でこちらの感想を。

 

まず、こちらを読んでからどうぞ。

 

gekkansunday.net

 

 とよ田みのる先生、1年と4か月の過充電期間を経てついに新連載が開始!!!ということでゲッサン12月号(11月発売分)で連載が開始されました『これ描いて死ね』。

 

またタイトルがすごいですね『これ描いて死ね』。

大事なことなので2回書かれてます。

 

 話は逸れるんですけど、とよ田先生の描き文字がすごく好きなんです。ラブロマの決してフキダシでしゃべらない男ハシバの頃から好きです。独特の味があるというか、先生の漫画にピッタシと合っている文字だなーと。「字は人を表す」の通り先生の心が反映されてるんですかね。

 

 

さて、『これ描いて死ね』。

★『これ描いて死ね』1話あらすじ
安海 相(ヤスミ アイ)は、
東京都の島しょ・伊豆王島に住む高校1年生。
漫画を読むのが大好きな彼女は、とある出来事がきっかけで
漫画を“つくる”ことを意識し始める……
少女を待ち受ける世界は、果たして!?(以上、ゲッサンHPより引用)

 

 

ざっくりとカテゴライズしてしまえば『漫画家漫画』です。

 古くで言えば『まんが道』、大ヒットした『バクマン』、他にも『アオイホノオ』『G線上ヘヴンズドア』『コミックマスターJ』『チェイサー』『週刊少年ハチ』…挙げればきりがありません。

 

これをとよ田先生の作風でどう表現するのか。

 これより1年前にスピリッツに掲載された読切作品『デビュー』でその一端は感じ取れます。ちなみにこの作品、世界最高の読切だと思いますので、ぜひ読んでほしいです。まだ単行本としては発売されてませんが(そのうちとよ田みのる先生短編集3が発売されてそこに収録されるはず、いやされてほしい、短編集出してほしい)、スピリッツ本誌が電子販売されてますのでぜひに。

 

www.amazon.co.jp

 

こういう時、電子って便利なのかもしれない。

 

 最高の読切でした。久々にとよ田先生の新作を読めたといううれしさ、しかもその作品がどストレートに心臓をぶち抜いてきたという衝撃も相まって気が付いたら『デビュー』の感想をブログにつづり上げた挙句、最終的にとよ田先生のサイン色紙リクエストに応募して見事『デビュー』の主人公「☆野0」こと星野零さんとデッパちゃんのフルカラーサイン色紙を頂くまでになりました。もう一生大切にします。(とよ田先生、その節は本当にありがとうございました。)

 

 

 さて、それぐらい心に響いた漫画でしたので、『これ描いて死ね』に関しても期待しかありませんでした。そしてその期待よりももっと上の衝撃と感動の第1話でした。

 

 前回『デビュー』のレビューでも同じようなことを言ったかもしれませんが、とよ田先生の作品って、どれも愛にあふれてるんですよね。それは恋人にだったり、ゲームにだったり、友人にだったり、人間じゃないものにだったり、世界にだったり。でも、その愛の見せ方がいやらしくなく、テンポよくストーリーが続いていく中でいつのまにかふわっと包まれている感覚というか。先生がよく言われてる「どいつもこいつも幸せになれッ!」ていうのがすべての作品の根底にあるからこそのものだと思います。

 

 今回の1話では漫画に対する愛が溢れていました。主人公、相が発する言葉・行動に愛があるのはもちろんなんですけど、手島先生の漫画に対する否定的な意見にも何故か愛が感じられます。

 個人的に一番好きなシーンは相の「漫画は嘘じゃないよ。」です(次のコマでの手島先生の「いいえ全部嘘です。」も併せて)。

 

また、自分にとってはとても共感性が高い1話でした。

 相が☆野先生のTwitterコミティアに出展することを知り、いてもたってもいられずジェット船に乗り込み、慣れない東京の電車の乗り方に迷い、どちらへ向かえばいいかわからずとりあえず人の流れに乗って進んでいき、果てに見えるは逆三角の建物、東京ビッグサイト

 ティアズマガジンを片手に持ち、縦にも横にも上にも広い会場をドキドキしながら歩き続ける。そしてお目当てである☆野先生のブースへ行き、行列ができてるのを見てビビり、ドキドキしながら並び「まだ本は買えるだろうか、そして何を話そうか、☆野先生ってどんな人なんだろうか」と思いをはせる。

 

これが完全にクリーンヒットしました。

 自分がはじめてコミティアに行ったのはもう6年前になるんですが(『デビュー』のレビューで書いた、とよ田先生とご飯をご一緒させてもらった話よりも数年前のことです)、完全に上記の相の思いや行動とダブってました。そもそもコミティアに行こう!と思い立ったのはとよ田先生がコミティアに出展する、というのをTwitterで見たからでして。

 自宅(岡山)から東京まで、電車や新幹線を乗り継ぎ大体4時間。往復8時間。だけど行く意味はある。なぜならとよ田先生が作品を出しているのだから。東京なんてめったに行くことはないけれど、そもそもビッグサイトとか行ったことないけれど、作品を買いたい、とよ田先生を見てみたい、という勢いだけでいざ東京へ。

 モノレールにも人生で初めて乗り、会場の詳しい場所わからないけどとりあえず人並みについて行けば大丈夫だろうと流れに乗り。会場の外に並ぶ入場待ちの列のとんでもない長さに度肝を抜かれ。入場時にティアズマガジンをみんな掲げて入るという異様な光景に思わず笑ってしまうも同じことを自分もやり。

 会場に入ったものの、あまりに緊張しすぎてまずは心の準備が必要だと思い、すぐにはとよ田先生のブースに向かわずあちらこちらをうろうろと。いざブースに行ってみると、漫画と同じように列ができているのでドキドキしながらこっそりと並び「まだ本は買えるだろうか、そして何を話そうか、とよ田先生ってどんな人なんだろうか」と思いをはせる。

 

 まんま過ぎて漫画を読みながら思い出がフラッシュバックしました。そういう意味でも最高の第1話でした。

 

 ちなみに漫画と実際で違うのは、初回ではとよ田先生のお姿を拝見したものの緊張しすぎて「ラ、ラブロマの頃からファ、ファンです!」とくらいしか言えなかったことですね。並んでる方々がみんな同人誌にサインをもらってたのを見て「この流れなら俺も行ける!」と思いサインは頂いたものの、列ができていたこともありそのあとはそそくさと帰りました。というかみんなにサインしてるとよ田先生のファンサービスがすごすぎる。

 『デビュー』の時の話は3回目のことです。コミティアに行くのが年に一回ペースだったので、毎回初回のように緊張してました。(ちなみに2回目は、とよ田先生のブースに遊びに来られてた『からかい上手の高木さん』の山本崇一朗先生にも、とよ田先生と合同での色紙をお願いしてしまうというとんでもなく失礼なことをしました。快くサインをお二人に頂いてしまって申し訳ない…家宝です。)

 

 

 

 コロナ禍がおさまったら、またどうにかコミティアに行きたいですね。できれば今度2月のコミティア、好きな作家さんがいっぱい出るので行きたいんですけど、さすがに難しいかな…。いや、でも行きたいな。

 

 

 あと、1話で漫画内漫画として使われた「一部の人間の脳を揺らす熱量のあるいい漫画」こと『ロボ太とポコ太』は実際にとよ田先生が描き上げコミティアにて販売されました。自分も「これは絶対に購入したい!いや、しなければならない!だが、コミティアには行けない(その頃まだ県外に出れなかったので)、おのれコロナめ…」と歯噛みをする思いだったのですが、実はCOMIC ZINさんで通販が。

 

shop.comiczin.jp

 

漫画内と同じく値段はなんと300円(税抜)。

もちろん早速購入しました。

 ツイートにも書いた通りなんですが、クオリティがあまりにも高すぎる。とよ田先生の他の作品を読んでいる方ならわかるパロディが埋め込まれていたり、スターシステム制なので見たことあるキャラがちらほらと。わははは、と笑いながら読んでたんですが、途中からの展開には興奮しました。まさかそうくるとは。

 正直、こっちが本連載と言われても全く問題ないくらいのすごい作品でした。あまりしゃべるとネタバレになるので中身は言いませんが、これは読むべき作品です。漫画内漫画として読むことで相の気持ちがよくわかり更に物語に入り込める効果もありますし、何よりこの『ロボ太とポコ太』作品自体がもう単独した傑作として成立しています。

 

 同人誌では1話のみが掲載されており、その後の話は制作されていないとのことですが、これはどうしても続きを読みたすぎる…!完全にとよ田先生次第ではあるのですが、もしかしたら続きがいつか読めるかも、と一縷の望みを抱いて待ってます。

 

 ちなみに2話では相が漫画を制作するのですが、その漫画も次回2月のコミティアにて発売されるそうです。これも絶対買う。できれば行って直に買いたいけど、行けなくても通販で絶対に買う。発売を楽しみに待っております。

 

 

以上、『これ描いて死ね』第1話「来るべき世界」の雑感でした。

 

 

 

 

~おまけ~

 あとみんな大好き『吉田が巨大なものを作ってますよ』の吉田輝和さんが1話にカメオ出演してます。元々自分はサイトのファンで「HUGE」とかもよく見てたのですが(「HUGE」を参考にして『等身大女体プリン』とかつくったこともありました)、20年ほど前からネットで見てるおじさんがいろんな漫画に載っているのを見るとなんか不思議な気がするな…。